栄養士が教えるランニング用栄養・水分補給プラン&アドバイス
Wings for Life World Run での好パフォーマンスに繋がる栄養・水分補給プランとアドバイスをプロサッカークラブなどで活躍する栄養士アニャ・ホリナさんが教えてくれました。
トレーニングで正しい栄養・水分補給をすれば、エナジーが高まり、パフォーマンスが向上し、トレーニング後に身体を再構築できるようになります。原則的に、正しい栄養・水分補給はトレーニング前・中・後のフィットネス、健康、競争力の維持に繋がります。つまり、5月5日をベストコンディションで迎えられるのです!
© Anja Horina
スポーツ栄養士のアニャ・ホリナさんは、現在、プロフェッショナルアスリートたちやFCリーフェリング(プロサッカークラブ:オーストリア2部)、そしてWings for Life World Runオフィシャルパートナーのレッドブル・ザルツブルク(プロサッカークラブ:オーストリア1部)と仕事をしています。今回はホリナさんが教えてくれたWings for Life World Run用栄養・水分補給アドバイスを紹介します。
自分に合う食料・飲料を見つける
筋肉のトレーニングは食事のトレーニングでもあります。色々な食品や飲料を試してみて、自分に合っているものと合わないものを見極めましょう。他人が勧めているからといって、自分に合うとは限りません。自分の身体の声に耳を傾けるようにしてください。
炭水化物を摂取する
筋肉はエナジーを貯め込むことができます。グリコーゲンを貯蓄できるのです。炭水化物が筋肉でグリコーゲンに変わり、エナジー源として貯蓄されます。つまり、運動中の筋肉になるべく多くのエナジーを送り込み、なるべく長く運動を続けるためには、炭水化物を摂取して筋肉のグリコーゲン量を減らさないようにする必要があるのです。運動前の炭水化物の摂取が重要視されているのはこれが理由です。
具体的に見ていきましょう!
1. トレーニング前
前項で述べた通り、穀物やお米、芋類、パスタ、ミューズリー、フルーツなどを食べて炭水化物を補給しましょう。水分もしっかり補給しましょう。
運動の3〜4時間前は消化の良い食事を十分に摂ります。繊維質と脂肪分が少ない低脂肪・高タンパクの食事が良いでしょう。昼食なら野菜と卵を添えた米や低脂肪チーズとハムのサンドウィッチ、トマトソースやミートソースのスパゲッティなどが理想的です。
朝食ならフルーツを添えたライスプディングやポリッジ、卵や低脂肪チーズ、ハムをのせたパンなどが良いでしょう。オレンジジュースも炭水化物とビタミン摂取に最適で、気分もリフレッシュできます。
運動の1〜2時間前なら、炭水化物が豊富な軽食が良いでしょう。バナナスムージー、ポリッジやミューズリーの小鉢、またはバナナ1本とオレンジジュース1杯などが理想的です。
カフェインの効果は?
カフェインはランニングのパフォーマンスを高めます。コーヒー、お茶、エナジードリンクに含有されているカフェインが最大限効果を発揮するのは、摂取から約1時間後です。体重1kgにつきカフェイン2〜3mgを摂取すれば大きな違いが得られます(例:体重70kgなら140〜210mg)。
2. トレーニング中
ホリナさんは次のように説明しています。「大半のランナーにとって、1時間以内のトレーニングなら炭水化物を追加する必要はありません。ですが、当然ながらトレーニングの強度や天候のコンディションによって変わってきます。高強度のトレーニングなら、バナナ1本やエナジーバー、エナジージェルを必要に応じて摂取してください。ドライフルーツを好んでいる人もいますので、気になる方はトライしてみてください。自分に合うものを見つけることが重要です」
水分も同じで、スポーツ飲料が理想的です。自分と相性が良いもの、つまり胃腸が不快にならないものを見つけましょう。飲み過ぎにも注意してください。アマチュアランナーなら1時間あたり400〜800mlを飲みたいですが、自分の身体の許容量と発汗量に応じてアレンジしてください。
3. トレーニング後
トレーニングのあとはとにかく補給と補修です。
炭水化物で体内エナジー量を補給し、プロテインで筋肉を補修し、電解質入りの飲料で全身を潤してください。
ホリナさんのランニング用リカバリーシェイク
低脂肪ミルク、低脂肪ヨーグルト(またはクワルク)、バナナ、ベリー類、オートミール、ハチミツ(少量)をよく混ぜて飲んでください。
その他の炭水化物補給方法:
- バナナミルク500ml
- フルーツヨーグルト200g + エナジーバー(スポーツドリンクまたは水を同時に摂取するのが理想)
トレーニング後の食事
クールダウンとストレッチが終わったら、健康的な食事を料理してみましょう。料理は栄養の再補給だけではなくリラックスにも最適です! プロテイン豊富なチキンフィレ、エナジー貯蓄量を元に戻すための炭水化物、そして免疫力向上に効果がある野菜類を食べるようにしましょう。あとはグラス1杯分の水を飲んで食事に含まれている塩分と栄養分を速やかに吸収できるようにしましょう。このときはスポーツ飲料でなくても問題ありません。
飲料
運動前・中・後の水分補給は栄養補給プランの重要な一部です。自分に必要な水分量は、気温、トレーニング時間、湿度、高度、発汗量など様々な要素によって変わってきます。
失われる水分量は個人差があるので、発汗テストで自分のレベルを見極めるようにしましょう。自分がどのくらい汗をかくのかが分かれば、脱水症状にならないために必要な水分量が分かります。
発汗テスト
- トレーニング前に下着で体重を量る
- トレーニングを行う
- トレーニング後に下着で体重を量る
結果:1と2の体重差が失われた水分量です。正確な数値が知りたい場合は、トレーニング中に飲んだドリンク分を体重差に足してください。
運動終了から数時間以内に失われた水分量の150%を摂取するようにしてください。
2022年5月8日:Wings for Life World Run当日
この日までに自分の身体と理想的な栄養補給方法について理解できているはずですが、身体のポテンシャルを引き出し、パフォーマンスを高めるためのアドバイスをいくつか紹介しておきます。
本番1〜2日前
炭水化物を増やしつつ、胃腸がトラブルを起こさないように繊維質を減らしましょう。カーボローディングというワードを聞いたことがある人もいるはずですが、レースやイベントの36〜48時間前に食事や軽食、飲料に含まれている炭水化物をできる限り増やしてみましょう。
本番前日
食品と飲料の準備を整えて、本番は自分の走りだけに集中できるようにしましょう。プランを用意して、自分のパフォーマンスを高めることが分かっている食品を摂るようにしましょう。この時点で新しい食品や飲料を試すのはNGです!
本番3〜4時間前
Wings for Life World Runはグローバルイベントですので、あらゆる時間帯で開催されます。よって、本番前の食事も場所によって変わってきます。いずれにせよ、本番前の最後の食事はグリコーゲンの貯蔵と水分補給を意識してください。
たとえば、オーストリアは午後1時スタートですので、炭水化物が多い朝食が良いでしょう。ミューズリーにバナナとミルク、スムージーなどがお勧めです。フルーツを添えたポリッジや低脂肪のハムとチーズのサンドウィッチもグッドアイディアです。フルーツジュースと水も忘れないようにしてください。
本番1〜2時間前
軽食を食べましょう。身体への負担が大きくないなら、米やパスタを少量食べても良いでしょう。あとは定番ですが、バナナとエナジーバーのコンビネーションもお勧めです。フラッグシップランの会場へ向かう道中またはアプリランのウォームアップをしている間は炭水化物入りのシェイクを飲むのが効果的です。シェイクは簡単に作れますし、液状ですので消化にも適しています。
自分に最適な栄養・水分補給プランを用意して、Wings for Life World Runを楽しんでください。走れない人たちのために走る自分を誇りに思いましょう!