仮面女子 猪狩ともかさんと振り返るWings for Life World Run 2024
日本全体では2,667人、全世界では265,818万人以上のランナーがレースに参加したWings for Life World Run 2024。 アンバサダーとして車いすで東京会場を走った猪狩ともかさんと本大会を振り返ります。
【 日本オフィシャルアンバサダー 】
猪狩ともか(仮面女子)
舞闘派アイドルグループ、仮面女子のメンバー。2018年、不慮の事故で脊髄を損傷し下半身不随に。リハビリ生活を経て、車椅子に乗りながらアイドル復帰を果たす。2021年に東京で開催された国際大会では、東京都より「パラ応援大使」に任命されている。
Wings for Life World Run 2024を終えて
ー まずはランを終えた率直な感想から聞かせてください。初めてのWings for Life World Runはいかがでしたか?
猪狩ともか(以下:猪狩) 楽しかったです。多くのランニングイベントって明確なゴールが決まっていますが、Wings for Life World Runはそうではなく、キャッチャーカーに追いつかれたら終了という私がこれまで参加したことのない新しい形だったので、すごく面白かったですね。
ー ゴールが自分次第というのが面白いですよね。どのくらい走られましたか?
猪狩 私は約3km走りました。「あと少しで3kmだ! でも追いつかれちゃう。わー、もうすぐそこまで来てるー。急げー! 」と鬼ごっこのような気持ちで楽しむことができました。
ー お祭りのような楽しい雰囲気で、参加しやすい空気感がありますよね。
猪狩 そうですね。そのおかげで、車椅子の方も思っていたよりも多く参加されていました。皆さん速い方ばかりで、私は何周も抜かされてしまいました(笑)。
ー 速さを競うだけがWings for Life World Runの魅力ではありません。
猪狩 そうなんです。抜いていく瞬間に声をかけてくださったり、沿道から声援を頂いたりと、すごく力になりました。
ー ゴールが決まっていないからこそ、応援の声がいつも以上にランナーの励みになりますよね。
猪狩 今回、ちぃたん☆(コツメカワウソの妖精)と一緒に走っていたこともあって、ちぃたん☆の人気に便乗して私も手を振り返したり、たくさん応援してもらえて嬉しかったです。
記憶に残るエピソード BEST 3
ー それでは、記憶に残ったエピソード BEST 3を教えてください。
① 車椅子ユーザーの力強い走りに感動!
猪狩 車椅子の参加者は、押してもらう方やペアで走る方、単独で走る方もいたのですが、その中でも飛び抜けて速い、筋肉隆々の車椅子ユーザーの方が居たんですよ。
1人でビュンビュン走っている姿が印象的でした。すごいなー、 私ももっと頑張らなきゃ! という気持ちになりました。
② 皆を元気にしてくれたMVP ちぃたん☆
猪狩 一緒に走っていたちぃたん☆が、一生懸命だったんですけど、途中からすごい辛そうで(笑)、「無理だったら先に抜けていいからね」と声かけたのですが、キリのいい所まで頑張って一緒に走ってくれました。
その後も「ここを触るとパワーが出るよ」と書かれた紙を持って、ランナーたちを応援してくれました。ちぃたん☆は、たくさんの方を元気付けたと思うので、私からこの日のMVPをあげたいと思います!
③ 日本人が70km超の新記録達成
猪狩 今回一位になられた渡邊智也さんが70.1km走ったと聞いて本当に驚きました! 去年優勝した福田穣さんの69kmもすごいのに、そんなに走れる人間がいるのが信じられません。
全世界の参加ランナーのトップが同じ日本人ということで、私も嬉しかったですね。自分が走ったわけではないのに、なんだか誇らしい気持ちになりました。
Wings for Life World Runへの参加で伝えたかったこと
ー Wings for Life World Run最大の目的でもある “脊髄損傷治療法研究への寄付” 。アンバサダーとして参加されて、どのような感想を持ちましたか?
猪狩 私自身、アンバサダーのお仕事をいただくまで、このイベントの存在を知りませんでした。脊髄を損傷している当事者でも、まだまだ知らない方がいっぱいいるんだろうと思ったので、私が参加することで少しでも多くの方に知ってもらえたら嬉しいです。
ー 当日はファンの方も走っていたそうですね。
猪狩 仮面女子のファンの中でも参加してくれた方々がいたり、毎年参加者数が増えているようなので、来年はもっとたくさんの人へ、どんどん広めていきたいです。
ー 今回の神宮外苑会場もチケットが完売していたので、来年は早めにエントリーするのが良さそうです。興味はあるけれど、車椅子での参加を不安に思っている方へはどんな言葉をかけますか?
猪狩 私自身、車椅子でマラソンは本当に大丈夫なのかと不安な気持ちがありました。ですが、いざ走ってみると、誰もがマイペースに参加できるイベントだったので、まったく問題ありません! ゆっくりですが、私も3km走れましたし、記録よりも参加することに意味があると思うので、もっともっと車椅子ユーザーの参加も増えたら嬉しいですね。
ー 確かに、あの会場の雰囲気を感じてもらえれば少し不安は解消されるかもしれません。
猪狩 もし走るのが不安だったら、まずは会場に応援に行ってみるのも楽しいと思います。実際、仮面女子のファンが家族と一緒に車椅子で応援に来てくれていたんですよ。ハイタッチしたり、声援を送ったり、それもひとつの参加の形として良いですよね。
次回の参加に向けて
ー 次回もまた参加したいですか?
猪狩 もちろん参加したいです。記録更新も狙いたいですし、参加者が増えるように事前の発信も頑張りたいですね。開催場所が増えても全会場ソールドアウトしてしまうくらい、人気のイベントになったらいいなと思います!
ー 来年は5月4日に開催される予定です。
猪狩 会場では、レッドブル・アスリートの方たちも参加してイベントを盛り上げていたので、来年は仮面女子の仲間たちを引き連れて、衣装を着てグループランをしてみたいです。仮装もOKのイベントですので、色々なコスチュームを着たランナーが増えたら面白いですよね。